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MLBで最も過小評価されている監督、テリー・フランコーナ


ビッグパピのラストシーズンでありAL優勝の最有力候補だったレッドソックスをスウィープし、チャンピオンシップシリーズに駒を進めたクリーブランド・インディアンス。そのインディアンスを指揮するフランコーナ監督に関する現地記者による記事を訳してみた。

将来への期待が垣間見れた2015年シーズン後の今シーズン、素晴らしいシーズンを送ったクリーブランド・インディアンス。22歳の天才、リンドーアやセイバーメトリクス系成績が軒並み高いクルーバーなどエキサイティングな選手を多く抱えているインディアンス。

そのインディアンスを率いて今年4シーズン目なのがテリー・フランコーナ監督。フランコーナは2004年と2007年にレッドソックスで2度チャンピオンリングを手に入れており、また性格も人にとても好かれるタイプの人間だ。

現在、監督の影響はベースボールにとって以前よりも大きくなっており、守備シフトなどもその中のわずか一部分である。よって、野球ファンは数字などで表すのは困難であるが、それぞれのチームの監督がチームの様々な特徴をどのように指揮していくのかを常に注目していく必要がある。特に1年で最も重要な時期であるプレーオフでは監督の采配がより目に見えるようなり、よって人々は一つ一つの采配に一喜一憂することになる。しかし、2016年の采配を見ていくと、プレーオフでフランコーナの采配にファンはより”喜”することになるだろう。

①打順

監督がまずチームの勝利へ影響を及ぼす第一の方法が打順の組み方である。2016年、フランコーナは従来の野球の常識を無視し、よりセイバーメトリクスの考えを導入した。例えば、従来リードオフマンには盗塁を多くする俊足の選手であまりパワーが無く、それによりあまり四球を選ばない選手を置くのが一般的だ。インディアンスでは今年出塁率はわずか.306ながら43盗塁をあげた今年の盗塁王ラージャイ・デービスがその典型的な選手だ。実際、今年インディアンスで2番目に多く1番でスタメンしたのはデービスだった。

しかし、フランコーナが今シーズン最も1番に起用したのは典型的なリードオフマンタイプとは言えないカルロス・サンタナだ。今年チーム在籍8年目の彼は1シーズンの平均盗塁数はわずか5つしかない。元々、キャッチャーだったが2014年以降ファーストあるいはDHというこれまた従来のリードオフマンの選手とは違うポジションに専念するようになった。

実際、チームで最も良い打者たちが控えるリードオフマンにとって走力はそこまで重要ではないという考え方もできる。2,3,4番の打者は長打を打てる選手が控えるため、実際に2塁に盗塁することは問題ない。代わりに最も重要なのはそういった好打者の前で出塁することであり、その点サンタナはキャリアで四球率が15.5%と高く、今シーズンも.366という高い出塁率を記録し彼を一番に据えることは理にかなっている。

また、当然だが1番の選手はチームで最も打席にたつ選手である。打順が1つ上がるごとにトータルのシーズンで約15~20打席多く立つことになるのだ。つまり、1番打席数の多い打順つまりリードオフマンに打撃力の高い選手を入れることも理にかなっている。OPSが3番のリンドーアに次いでチーム2位のサンタナを1番に入れることはこの点でも理にかなっていると言える。

②リリーフ

9月終盤、フランコーナは先発、中継ぎ、抑えの従来の投手起用法もせずに2番手の投手で6〜10打者ほど投げ、次のリリーバーにバトンを渡す”第2先発”を導入した。これはプレーオフは最高でも3連戦までで移動日が多いため、より効果的である。この起用法がインディアンスに最も合っていると言えるのは単に先発2番手のカラスコと3番手のサラザーが離脱しているだけでなく、フランコーナの下、一番良いリリーフ投手をどの回でも最も大事な場面で登板させるというチーム方針もあるからだ。

トレードデッドラインでヤンキースから加入したアンドリュー・ミラーがいい例だ。加入後、22 2/3イニングで防御率1.99という好成績を残した。通常、ブルペン陣で最も良い投手はクローザーを任され、セーブがつく場面の最終回でのみ起用される。9回が常に試合の最も重要な場面ではない。しかし、同点の7回のピンチで相手が3番打者という場面がもしかしたら試合を決する最も重要な場面であるかもしれない。ただ、この場面ではまだ7回であるから本来ならクローザーは登板しないだろう。

幸いなことに、ミラーは少なくてもインディアンスでは一般的なクローザーではない。ヤンキース時代に主に8、9回のみで登板していたが、インディアンス移籍後はゲームの後半戦であればどのイニングでも最も重要な場面でマウンドに上がる。FanGraphs.comで”リバレッジインデックス”という状況がどれだけ重要であるのかという指標がある。ツーアウト満塁が最も高く、ノーアウトランナーなしが一番低い。要は、ミラーの起用法はこの指標が高い場面で最も良いリリーフ投手を出すのが良いという考え方に合うものだ。

フランコーナはどのリリーフ投手が最も良い投手でその投手をどの場面で起用するのかを決断することに大変優れている。こういった常識にとらわれないリリーフ投手の起用法の成功に関しての全ての賞賛をフランコーナに送ることは間違いだが、フランコーナはその効果的な起用法に対して一定の評価を受ける価値はある。起用されるタイミングが不規則であるため、リリーフ投手にとって登板への準備がより難しい。よって、監督はリリーフ投手の起用法を決めるだけでなく、リリーフ投手たちにチームのために個人成績を度外視してもらうことを説得するというより重要な役割を務めなければならない。フランコーナはこの2つの任務を完璧にこなしている。8/15にミラーは

「私にとって、フレクシビリティが私の最大の武器である。フランコーナが僕を起用したいどんな場面でも僕は喜んで登板する。」と話した。以前、レッドソックスでフランコーナの下プレーしたことのあるミラーだが、それはわずか数ヶ月のことであったため、移籍前からこの二人の間に特別な信頼関係があったわけではない。プレーオフではより常識にとらわれず、大胆な投手起用をすることもあるだろう。そして、それを臆せずできる監督は誰かと言われれば、それはフランコーナだろう。

人気球団ではなくやや地味な球団を指揮しているからなのか、去年までインディアンスが不振だったからなのか分からないが、フランコーナはを賞賛する声は思ったほど聞こえてこない。彼は選手との信頼関係を築くのが優れいているだけでなく、データを重視し、選手に信頼され、彼らを正しく起用することにも長けている。その能力こそ監督に最も求められるものであり、その指導力でインディアンスを指揮するフランコーナ監督に注目することはプレーオフの見どころの1つとも言えるだろう。

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