打順の奥深さを追い続けるジョー・マドン
- motoryugakuseinomemo
- Oct 12, 2016
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ジョー・マドンの朝のお気に入りの儀式は大きなコップに入れたジャバコーヒーを飲みながら、iPad Proにスタメンを打ち込むことである。
やがて、コーヒーとiPad Proで様々思考して決めたスタメンを記入したメンバー表をアンパイアに渡し、やがてそのスタメンにマドンのどういった考えを反映しているのかをファンや評論家が推測することになる。
カブスの前監督、ルー・ピネラは当時、シカゴのメディアより毎日のスタメンについて議論する者はいないと語った。マドンも昨シーズン、多くの試合で投手を8番に起用したり、パワーヒッターの新人シュワーバーを2番に起用するなど、現地メディアに様々な議論をさせた。
今年後半戦、マドンは右投手相手に対しては1〜4番までをほぼ固定するようになり(ファウラー、ブライアント、リゾー、ゾブリスト)、投手を従来の野球の常識である9番に入れることが多くなった。
マドンは2015年、多くの試合で投手を8番に入れた理由はルーキーのアディソン・ラッセルを9番に入れ、彼を第二のリードオフマンのような役割にしたかったからだと語っていた。
「昨年、投手を8番に置いた最も大きな理由はアディソン(ラッセル)を守るためだ。そして、リゾーとブライアントの前にランナーを溜めることだ。9番にラッセルを置くことで彼らの前により多くのランナーを溜めることができると思った。」
「だが、今年の打撃陣の層の厚さならば、8番に投手を置く必要はない。常に7番にも強力な打者を置くことができているし、その後に投手を置くことでその厚みに支障をきたしたくない。」
ラッセルは2015年、116試合9番でスタメン出場した。2015年、142試合あったDH制の無い試合で9番に投手を入れたのはわずか12回だけだった。
ただ今年、ラッセルは9番ではわずか1試合のみで起用され、主に5〜7番を打つことが多くなっている。
「打順については様々な角度から考えなければいけない。去年の先発投手はアリエタとレスター以外長いイニングを投げる投手がいなかったので、より早い段階で代打を送ることが多かったというのも去年、8番に投手を置いていた理由だ。だが、最も大きな理由はアディソン(ラッセル)のことだった。もし、8番にラッセルを起用すれば、次の打者が投手であるため、投手が甘い球を投げてくる可能性が低くなる。これが1番の理由だ。」
そして今年、主に5〜7番を任せられたラッセルはアストロズのコレアに次いでMLBのショートでは2位の95打点を記録した。これだけを見ると昨年、9番で経験を積んだことが生かされていると言える。
マドンはコーチ陣やフロントオフィスからのアドバイスと選手を正しい打順に配置するために大量のデータを駆使して打順を決める。
球団社長のセオ・エプスタインはマドンがスタメンを決めるのは全て”ジョーの指示”であると主張する。
「彼は時々、アドバイスを求めてくる。基本的に彼が質問してくるのは、セイバーメトリクスの観点でどのように選手を配置するのが最も理にかなっているかだ。そして、毎日、リサーチ部門に先発投手についてやその先発投手と各打者との相性などを尋ねる。」
常に熟考してスタメンを決めるマドンだが唯一何も考えずに決めることができるのが1番にデクスター・ファウラーを置くことだ。FAによる大型契約で加入したヘイワードは2015年シーズン、カージナルスで3〜6番の全ての打順を経験した。マドンは開幕当初から長い間、打率.240、OPS.657と不振が続くヘイワードを2番に固定した。
しかし、調子が戻らないヘイワードを後半戦から主に6番へ下げた。その後もヘイワードが完全にスランプから脱出することはなかったが、9回の同点打とサヨナラヒットを打った9/4のジャイアンツ戦など、重要な場面でのクラッチヒットが度々あった。
ヘイワードが降格後、チームの主砲であるブライアントが2番を打つようになった。この動きは理にかなったもので、ブライアントは.385という高い出塁率を誇るため、その後を打つリゾーとゾブリストに得点圏でより多く打席が回ってくるようになった。
エプステインはブライアントは将来、3番バッターとして多く起用されるであろうと話したが、一方で野球の常識が変わりより多くのチームが最も良い打者に多くの打席数を与えるために2番に置くのは納得できると語った。
プレーオフでも様々な打順のオプションがマドンには与えられる。しかし、彼のそばにiPad Proとコーヒー屋がある限り、彼の頭から常に素晴らしいアイデアのある打順が生み出されるだろう。
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